書き残したいこと 7
                               2025年6月29日 寺岡克哉


7章 生まれ変わりは存在しない
 前の6章で「死後の世界」は存在しないと述べましたが、私は「生まれ変わり」も存在
しないと確信しています。

 なぜなら、私に「前世の記憶」というものが、まったく存在しないからです。
 そして、どんなに遠い過去まで時間を遡(さかのぼ)っても、前世の記憶がまったく無
いならば、死後にも生まれ変わる可能性のないことが、どんどん明白になっていくからで
す。

 それは例えば・・・ 
 現生人類(ホモ・サピエンス)は、今から約20万年前に誕生したと言われています。
 しかし私は、人類としての前世の記憶を持っていません。だから、過去20万年におい
て、生まれ変わりは存在しなかったわけです。
 ゆえに、同じく私の死後20万年の時間が経ったとしても、生まれ変わりは存在しない
と推測できます。

 また、地球に最初の生命が誕生したのは、今から約40億年前だと言われています。
 しかし私は、人類以外の生物としても、前世の記憶を持っていません。だから、過去
40億年において、生まれ変わりは存在しなかったわけです。
 ゆえに、同じく私の死後40億年の時間が経ったとしても、生まれ変わりは存在しない
と推測できます。

 さらに、この宇宙が誕生したのは、今から約140億年前だと言われています。
 そして、その長い時間の中においては、宇宙のどこかで、地球以外の生命体が存在して
いたかも知れません。しかし私は、地球以外の生命としても、前世の記憶を持っていませ
ん。だから過去140億年において、生まれ変わりは存在しなかったわけです。
 ゆえに、同じく私の死後140億年の時間が経ったとしても、生まれ変わりは存在しな
いと推測できます。

 そして、この宇宙が誕生した140億年前よりもさらに以前、たとえば「無限の過去」
まで思いを巡(めぐ)らしてみても、私には前世の記憶が存在しません。
 だから、この宇宙が誕生する前、その永遠の過去からの無限に長い時間の中で、もしも
別の宇宙が無数に誕生していて、それら無数の宇宙に、無数の生命体が存在していたとし
ても、生まれ変わりは存在しなかったわけです。
 ゆえに、同じく私の死後、無限の時間が経ち、その間に無数の宇宙が新しく誕生して、
無数の生命体が新しく生まれたとしても、生まれ変わりは存在しないと推測できるのです。

 以上ここまで考えてくると、「生まれ変わり」が存在しないことは、もはや明白である
と言わざるを得ません。
 そして、これは私だけでなく、世界中のほとんど全ての人にたいしても、まったく同じ
ことが言えるでしょう。

              * * * * *

 しかしながら、
 「じつは多くの人が生まれ変わっているけれど、前世の記憶が消え去っているだけだ」
 「従って、前世の記憶が無いからといって、生まれ変わりが存在しないという証拠には
ならない」
 と、このように反論する人がいるかも知れません。

 が、しかし、そのような反論に対しては、「前世の記憶が完全に消えてしまい、まった
く残っていなければ、それは、生まれ変わりが存在しないのと全く同じだ」と、私は主張
します。

 また、人類全体から見ればごくごく少数ですが、「私は前世の記憶を持っている!」と
主張する人がいます。しかも私は、その主張に対して真偽を判断することができません。
 が、しかし、前世の記憶を持っていない「ほとんど全ての人類」を対象に考えれば、
「生まれ変わりは存在しない」と結論するのが、もっとも理に適(かな)っていると私は
判断しています。

              * * * * *

 ところで近年では、小説や漫画やアニメなどで、「異世界転生もの」というジャンルが
流行(はや)っています。だから、もしかしたら小学生や中学生、さらには高校生や成人
であっても、「生まれ変わり」を信じている人が、増えているのではないかと心配してい
ます。

 それで、ちょっとインターネットで調べてみたら、
 国際社会調査プログラム (International Social Survey Programme;ISSP)による20
08年のデータによれば、日本人の42.6%が「生まれ変わりを信じている」と回答し
ていました。

 なんと、日本人の4割以上が、生まれ変わりを信じているというのです!

              * * * * *

 が、しかし、上で述べたように、
 この世界にあなたや私が生まれたのは、つまり、あなたや私の自我意識がこの世界に存
在できたのは、無限の過去から無限の時間を経て、たった1回だけ起こった奇跡中の奇跡
です。
 それを考えれば、あなたや私が死んだ後、さらに無限の時間が経とうとも、あなたや私
の自我意識が再(ふたた)び存在できること、つまり、あなたや私が生まれ変わることは、
おそらく絶対に無いでしょう。
 そしてこれは、あなたや私だけでなく、前世の記憶を持っていない、世界中のほとんど
全ての人に対しても、まったく同じことが言えるのです。

 だから、もしも「生まれ変わり」を信じている人がいたら申し上げたいのですが、「死
んで生まれ変わり、もういちど人生をやり直そう!」などと、軽い気持ちで行動に移すよ
うなことは、絶対にやらないでください。

 私が「生まれ変わり」を否定する最大の理由は、ここにあるのです。


 つづく



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