書き残したいこと 3
2025年6月1日 寺岡克哉
3章 自我意識が存在するのは人生で最大の奇跡
あなたや私には、「自我意識」というものが存在します。
この「自我意識」を、すこし具体的に説明すると以下のようになるでしょう。
●自我意識とは、「自分が生きていること」や、「自分が存在していること」を認識する
意識です。
●自我意識とは、自分と外界を区別し、「自分は一人しか存在しない!」と言う、「自己
の独自性」を認識する意識です。
●自我意識とは、今日の自分も、昨日の自分も、1週間前の自分も、1年前の自分も、10
年前の自分も、つねに同じ自分であるという「自己の同一性」を認識する意識です。
●自我意識とは、自分の欲求や希望、目標などを自らの意思で実現させようとする、「能
動的な思考や行動」を生じさせる意識です。
当然ですが、この自我意識が働いている間は、一時も休むことなく、「私は生きている」
と自覚しつづけます。自我意識が存在している間は、「私は生きている」という自覚を、
一時たりとも止めることができません。
自我意識によって、考えたり、思ったり、悩んだり、喜んだり、楽しんだり、愛したり、
怒ったり、憎んだり、悲しんだり、苦しんだり、見たり、聞いたり、味わったり、匂った
り、話したり、触ったり、歩いたり、走ったり、その他さまざまな行動をするから、「私
は生きている」と自覚できるのです。
このように、あなたや私は、自我意識が存在するのを何時(いつ)も自覚しつづけてい
るので、自分に自我意識が存在するのが、まったく当たり前のように感じています。
ところが!
あなたや私に自我意識が存在するというのは、あなたや私の人生にとって最大の奇跡な
のです。
なぜなら・・・
例えば、ビッグバンが起こる以前において、さまざまな未知の自然法則や、さまざまな
未知の因果関係や、さまざまな偶然や必然が、無限の過去から無数に続いてきた結果とし
て、およそ140億年前にビッグバンが起こらなければ、あなたや私の自我意識は存在で
きなかったからです。
また例えば、ビッグバンの莫大なエネルギーから、水素やヘリウムなどの原子、つまり
物質が作られなければ、あなたや私の自我意識は存在できなかったからです。
また例えば、それらの原子が集まって「恒星」が作られ、その恒星の中心部で核融合が
起こり、水素やヘリウムを原料にして、酸素、炭素、窒素、カルシウム、イオウ、リン、
鉄など、生物に欠くことのできない様々な原子が作られなければ、あなたや私の自我意識
は存在できなかったからです。
また例えば、宇宙に漂(ただよ)う膨大な星間物質が集まって、さまざまな恒星や銀河、
太陽系、そして地球が作られなければ、あなたや私の自我意識は存在できなかったからで
す。
また例えば、地球に空(大気)や大地や海が作られなければ、あなたや私の自我意識は
存在できなかったからです。
また例えば、地球の海の中で、さまざまな原子が結合して分子や高分子が作られなけれ
ば、あなたや私の自我意識は存在できなかったからです。
また例えば、さまざまな高分子が複雑に組み合わさって、地球に生命が誕生しなければ、
あなたや私の自我意識は存在できなかったからです。
また例えば、生命が進化して、単細胞生物から多細胞生物、無脊椎(むせきつい)動物、
脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類、サルの仲間、そしてヒトが誕生しなければ、
あなたや私の自我意識は存在できなかったからです。
また例えば、あなたや私の両親が生まれなければ、あなたや私の自我意識は存在できな
かったからです。
また例えば、その両親が偶然に出会い、結婚しなければ、あなたや私の自我意識は存在
できなかったからです。
ところが!
あなたや私の両親が、たとえ何人もの子供を作ったとしても、あなたや私の自我意識が
存在できる保証はありませんでした。
なぜなら、あなたや私が生まれるとき、父親の何億もの精子の内、一つ隣の別の精子が
受精すれば、あなたや私の自我意識は存在できなかったからです。だから、違う日に行わ
れた交接によって受精しても、あなたや私の自我意識は存在できなかったのです。それは、
兄弟の場合を考えれば明白です。
さらには、もしも、あなたや私が一卵性の双生児(同じ受精卵から生まれた双子で、全
く同じDNAを持つ)であっても、あなたや私の双子の兄弟には、あなたや私の「自我意
識」は存在しません。彼に存在するのは、彼の「自我意識」です。
だから、もしも、あなたや私と全く同じDNAを持つ「クローン人間」を作ることがで
きたとしても、そのクローン人間には、あなたや私の「自我意識」は存在しません。彼に
存在するのは、彼の「自我意識」なのです。
このように、あなたや私の両親から、あなたや私とまったく同じDNAを持つ子供が生
まれたとしても、その子供に、あなたや私の自我意識が存在する保証は、まったく無かっ
たわけです。
以上のように考えてくると、
あなたや私の自我意識が、この世界に存在できたのは、あなたや私の人生で最大の奇跡
であると言わざるを得ません。
なぜなら上で述べたように、あなたや私の自我意識が存在できるためには、無限の時間
と、無数のプロセス(過程)と、無数の偶然と必然の積み重(かさ)ねが絶対に必要だっ
たからであり、それらの、どれ1つが欠けても、あなたや私の自我意識は絶対に存在でき
なかったからです。
それで私は、なぜ自分の自我意識が存在できたのか、不思議で不思議でたまらなく思い、
かなり前(30年ぐらい前)からずっと疑問に感じていました。
しかし現在では、それを次のように納得しています。
まず以前に1章で、「神とは、この世界そのものである」と定義しましたが、私の自我
意識が存在できたのは、この世界そのものである神が、その様にしたからです。
つまり「この世界」が私の自我意識を存在させたので、従って「神」が私の自我意識を
存在させたので、私の自我意識が存在できたわけです。
そして、私の自我意識が「この世界」に存在するという、まさにその、絶対に疑うこと
のできない自明の事実。それが、「この世界」と私を直接につなぐ、もっとも強固で確実
な「絆(きずな)」となっています。
ゆえに、私の自我意識が存在することは、神と私を直接につなぐ、もっとも強固で確実
な「絆」に他ならないのです。
つづく
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