生命について 6
2024年8月25日 寺岡克哉
第4部 神と生命
23章 神の定義
神とは、「この世を、この様にしているもの」と定義します。
ここで、「この世」とは、人間や人類社会、生命、生態系、地球、そして太陽系や銀河
系を含めた、「宇宙全体」のことをいいます。
そして、「この世を、 “この様に” しているもの」というのには、以下の三つの意味が
含まれています。
●この世を、この様な「存在」にしているもの。
●この世を、この様な「状態」にしているもの。
●この世を、この様な「状況」にしているもの。
つまり神とは、人間や人類社会、生命、生態系、地球、太陽系や銀河系を含めた宇宙全
体を、この様に存在させ、この様な状態にし、この様な状況にしているものです。
つぎに、神について、すこし具体的に表現してみましょう。
たとえば・・・
神とは、およそ140億年前に、ビッグバン(宇宙の始まりの大爆発)によって、この
宇宙を誕生させたものです。
神とは、ビッグバンの莫大なエネルギーから、水素やヘリウムなどの原子、つまり物質
を作り出したものです。
神とは、宇宙に漂う膨大な星間物質を集めて、さまざまな恒星や銀河、太陽系、そして
地球を作ったものです。
神とは、地球に生命を誕生させたものです。
神とは、生命を進化させ、単細胞生物から多細胞生物、無脊椎動物、脊椎動物、魚類、
両生類、爬虫類、哺乳類、サルの仲間、そしてヒトを誕生させたものです。
神とは、細菌や植物や動物など、すべての生物によって、地球の生態系つまり「大生命」
を作り出したものです。
神とは、私たち人間に、自我意識や思考能力や感情を持たせたものです。
神とは、私たち人間に、村や町、都市、国家、国際社会を作らせ、政治や経済、宗教、
その他さまざまな社会活動を行わせ、学問や教育、医術、芸術、工芸、スポーツ、芸能、
その他さまざまな文化活動を行わせるものです。
神とは、様々な自然法則や、様々な因果関係や、様々な偶然や必然を司るものです。
・・・・・・等々、具体例を上げれば、まだまだ限がありません。
さらには、ビッグバンが起こる以前にも、何かの因果関係が、無限の過去から連綿と続
いて来たはずです。その結果として、140億年前にビッグバンが起こり、この宇宙が誕
生して、「この世が、この様になった」わけです。
だから神は、無限の過去から現在まで起こった事象の、すべてを司っています。
ところで上で定義したように、神とは「この世を、この様にしているもの」です。
だから、「この世が、この様になっている」以上は、神は論理的に存在しなければなり
ません。
ゆえに神は、それを信仰しても信仰しなくても、そんなことには関係なく、厳然と存在
するのです。
24章 神の意志
前の23章で定義したように、神とは、「この世を、この様にしているもの」です。
そして一方、この世(つまり、この宇宙)には、無限と言えるほど多くの事物が存在し
ています。神は、この世を、その様にしています。つまり神は、そのように「働きかけ」
をしているのです。
この「神の働きかけ」とは、時間や空間、エネルギー、物質、そして生命などを存在さ
せている、大自然の力、大自然の作用、大自然の法則、大自然の摂理などのことです。
具体的に例えば、
地球の大気(酸素など)が、宇宙に拡散して無くなってしまわないこと。
太陽の引力によって、地球が太陽に落ちてしまわないこと。
太陽がすぐに燃え尽きないで、100億年も輝き続けること。
原子核の周りの電子が、電気的な引力によって原子核に落ちないこと。
原子核の中の陽子と陽子が、電気的な反発力によって飛び散らないこと。
これら、上で挙げた事実は、
地球が地球として存在すること。
太陽が太陽として存在すること。
原子が原子として存在すること(つまり物質が物質として存在すること)。
そのためには、大自然に存在する何らかの力や作用、法則、摂理などが、地球や太陽や
物質の「存在を支えていること」を表わしています。それが「神の働きかけ」です。
ところで繰り返しますが、この宇宙には無限と言えるほど、じつに多くの事物が存在し
ています。それは神が、それらの事物が存在できるように「働きかけ」をしているからで
す。
ゆえに神は、この宇宙に存在する全てのものに対して、それらが存在することを志向し、
それらが存在することを望んでいるのです。
これが「神の意志」です。
また、宇宙の歴史を見ると、宇宙が誕生して初期のうちは、水素やヘリウムなどの単純
な原子しか存在しませんでした。
しかし時間が経つにつれて、恒星の中で水素やヘリウムが核融合し、炭素や酸素、窒素、
カルシウム、リン、鉄などの、さまざまな種類の原子が生まれました。
さらに、それらの原子が結合して、さまざまな分子や高分子が生まれ、さらに高分子が
複雑に結合して、この地球に生命が生まれました。
その生命も、最初は単純で下等な生物でしたが、時間が経つにつれて、人間のような複
雑で高等な生物へと進化して行きました。
この世は、その様になっています。ゆえに神は、単純で下等なものから、複雑で高等な
ものへと、進化発展させるような「働きかけ」をしています。
これも「神の意志」です。
以上から神は、
この宇宙に存在する全ての事物に対して、それらの存在を志向し、それらの存在を望み、
それらを単純で下等なものから、複雑で高等なものへと進化発展させようとしていること
が分かります。
それが「神の意志」なのです。
25章 神は生命である
前の24章で述べたように、神は、この宇宙に存在する全ての事物に対して、それらの
存在を志向し、それらの存在を望み、それらを単純で下等なものから、複雑で高等なもの
へと進化発展させようとします。神は、そのような「意志」を持っています。
そして神は、その意志のもと、太陽を作り、地球を作り、生命を誕生させ、生命を進化
発展させています。神は、神の意志によって、大地に日光を照らし、雨を降らせて、地球
の生命全体を育んでいるのです。
神が、このような意志を持ち、生命を生み、生命を育むのであれば、それは広い意味で
「生命」と言って良いでしょう。
神は意志をもち、生命を生み育てます。ゆえに神は生命なのです。
いま上で述べた「神としての生命」は、20章や21章で述べた「大生命の樹」よりも、
さらに生命概念が拡張されています。
なぜなら、「大生命の樹」は人間を含めた生物の存在と、人間の精神活動(これは人間
という生物の活動)に、生命の概念が限定されていました。つまり「大生命の樹」は、生
物の存在と、生物の活動に、生命概念が限定されているのです。
しかし一方、「神としての生命」は、太陽や地球の生成など、生物以外のものにも、生
命の概念を適用しているからです。
「神としての生命」は、生物の存在とその活動を超越した生命概念であり、強(し)い
て言えば「超生命」です。
この宇宙が誕生する前の、無限の過去から存在している「超生命」。
140億年前のビッグバンによって、この宇宙を誕生させた「超生命」。
この宇宙に、太陽と地球を作り出した「超生命」。
地球に生命を誕生させた「超生命」。
生命を根底から支えて育む「超生命」。
宇宙全体を進化発展させている「超生命」。
神は、そのような「超生命」であると言えるのです。
26章 永遠の生命
以前に19章で述べたように、「波及拡大する生命の仕事」は、肉体が死んでも、種族
が絶滅しても、生き続ける「生命」でした。
ところで「波及拡大する生命の仕事」は、もしも生命が滅んだとしても、無限に波及拡
大を続けて行きます。
なぜなら、原因と結果の「因果関係」というのが、永遠に続いて行くからです。
たとえば、あなたや私の生命の仕事(生命活動)が原因となって、何らかの結果が生じ、
その結果が新たな原因となって、さらに新たな結果が生じる・・・ という因果関係。
その因果関係が、たとえ人類が滅びようとも、さらには大生命が滅びようとも、永遠に
続いて行くからです。
そうすると19章で述べたように、「波及拡大する生命の仕事」とは生命だから、あな
たや私の生命は、無限に波及拡大して、永遠に生き続けることになります。
ところで以前に23章で定義したように、神とは「この世を、この様にしているもの」
でした。
そして、あなたや私の「波及拡大する生命の仕事」は、「この世を、この様にしている
もの」の一部だから、間違いなく神の一部です。
さらに、「波及拡大する生命の仕事」とは生命だから、「あなたや私の生命」は神の一
部なのです。
ゆえに、あなたや私の生命は、神の一部として神に受け入れられ、前の25章で述べた
「超生命」の一部となって、永遠に生き続けます。
そしてこれが、私たちに神が与えてくれる「永遠の生命」であると、私は結論している
のです。
おわり
あとがき
本書では、「生命」というものに対して、これまで私が考えて来たことを述べさせて頂
きました。
ところで、本書の全体を振り返ってみると、肉体的生命、精神的生命、大生命、大生命
の樹、そして神としての生命へと、生命の概念を拡張する過程であったことが分かります。
また、別の観点から見ると、個の生命、大生命、超生命へと、生命概念を拡張してきた
ことも分かります。
さらに別の観点から見ると、死によって消滅してしまう生命から、死によっても消滅し
ない生命への、生命概念の拡張でもあります。
人間は、自分がいつか必ず死ぬと、自分自身で分かっている生物です。
だからこそ、死によって消滅しない生命に対して、いろいろな人が、さまざまな思索を
巡らせて来たのだと思います。
本書も、そのような思索の一つであり、一人でも多くの人が「生命」というものに対す
る理解を深め、是非とも、「死によって消滅しない生命」を獲得して頂きたいと願ってや
みません。
2024年8月25日 寺岡克哉
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