神の顕現 9
                                2024年7月7日 寺岡克哉


第4部 永遠の生命


44章 「生命の意義」の定義
 「生命の意義」を、「生命活動が与えた影響の全て」と定義します。
 つまり、ある生物個体の「生命の意義」とは、その生物個体が、生命活動をすることに
よって周囲に与えた影響の、全てを言います。

 たとえば具体的には、私という一個の人間(生物個体)が、
 「呼吸」という生命活動をすれば、酸素が減り、二酸化炭素が増えるという影響を周囲
に与えます。
 「食事」という生命活動をすれば、まず何らかの動物や植物を、食物として犠牲にした
という影響を与えます。しかしその他にも、食物を売った小売業の人々や、食物を生産し
た農業や漁業や畜産業の人々の生活を支えるという、さまざまな影響も与えます。
 「病院に行く」という生命活動をすれば、医師や看護師や薬剤師の人々に影響を与えま
す。
 「文章を書く」という生命活動をすれば、それを読んで頂いた人々に、何らかの影響を
与えることでしょう。
 このように、私という生物個体が、何らかの生命活動を行えば、必ず何らかの影響を周
囲に与えます。その、私が与える影響の全てが、私の「生命の意義」です。

 ところで「生命の意義」は、もちろん私だけでなく、あなたにも、そして全ての人にも
存在します。さらには人間だけでなく、あらゆる生物にも存在します。
 たとえば一本の草木でも、「酸素を作る」という「生命の意義」が存在し、一個の微生
物でさえ、「腐敗や発酵」という「生命の意義」が存在するのです。


45章 「生命の意義」は波及拡大する
 ところで、前の44章で定義した「生命の意義」は、時間が経つにつれて波及拡大して
行きます。

 いちばん端的な例では、ある生物個体が行った「繁殖」という生命活動の影響、つまり
「繁殖」という「生命の意義」は、時間が経てば波及拡大して行きます。
 なぜなら、親が子供を作れば、その子供たちが育って親になり、さらに子供を作るから
です。そして個体の数も増えて行きます。このようにして、「生命の意義」は波及拡大す
るのです。

 また例えば、ある一人のお百姓さんが、一生懸命に農作物を作ったという「生命の意義」
は、その農作物が市場で売られ、他のたくさんの人々の口に入り、たくさんの人々の生命
を養うというように波及拡大して行きます。
 そして、その農作物を食べることによって生命を維持した人々は、さらにそれぞれの生
命活動(仕事や生活)を行い、そのお百姓さんの「生命の意義」は、さらに波及拡大して
行くのです。

 また例えば、700万年前に木から降りたサルの「生命の意義」は、人類を出現させ、
現在では全人類の繁栄となって波及拡大しています。

 また例えば、4億年前に陸上に進出した魚の「生命の意義」は、現在では陸上動物全体
の繁栄として波及拡大しています。

 また例えば、40億年前の最初の生命、つまり初めて自己複製と増殖に成功した生物の
「生命の意義」は、現在では地球の生命全体の繁栄として波及拡大しているのです。

 確かに、それぞれ個々の生物の「生命の意義」は、とても小さなものです。
 しかし、一個の生物個体の「生命の意義」が、たとえどんなに小さなものであっても、
時間が経てば経つほど、その「生命の意義」はどんどん波及拡大して行くのです。


46章 「生命の意義」は、肉体が死んでも波及拡大を続ける
 前の45章を読んで頂ければ一目瞭然(いちもくりょうぜん)ですが、ある生物個体の
「生命の意義」は、その生物個体の肉体が死んでも、波及拡大を続けます。
 なぜなら例えば、「繁殖」という「生命の意義」は、親の肉体が死んでも、子々孫々と
波及拡大して行くからです。

 さらに「生命の意義」は、生物個体の肉体が死ぬだけでなく、その生物種が絶滅しても、
波及拡大を続けます。
 なぜなら、4億年前に陸上に進出した魚の「生命の意義」は、すべての陸上動物の繁栄
として、現在も波及拡大を続けているからです。
 陸上への進出を試みた4億年前の魚たちは、現在では、個体のみならず種としても存在
しません。しかしながら、かつてその魚たちが存在し、陸上への進出に成功したという
「生命の意義」は、たしかに現在でも波及拡大を続けているのです。


47章 「生命の意義」は、肉体が死んでも生き続ける
 ある生物個体の「生命の意義」は、その生物個体の肉体が死んでも、他の生命の中で生
き続けます。
 なぜなら例えば、私の先祖が「子孫を残した」という、先祖の「生命の意義」は、その
先祖の肉体が死んでも、私の中に存在し、私の中で生き続けているからです。

 ところで、「自分の中に存在するのは、自分の生命の意義だけであり、自分の中に先祖
の生命の意義など存在する訳がない!」と、主張する人がいるかも知れません。
 しかしながら、先祖が存在しなければ、私が存在できないのも事実です。先祖が一生懸
命に生き抜き、子供を生み育てなかったら、私は絶対に存在できませんでした。
 「私の存在」は、私だけで成し遂げたのではありません。私は、私だけでは絶対に存在
できなかったのです。その、「私が存在できている様々な要因」の中の、「他の生命に依
存している部分」が、私の中に存在する「他の生命の意義」です。

 だから、「私が存在できていること」そのものが、取りも直さず、「先祖の生命の意義」
が私の中に存在すること。そして「先祖の生命の意義」が、現在の「私の存在」に何らか
の影響を与え続けていること(例えば、先祖代々に伝わる家訓や風習など)。つまり「先祖
の生命の意義」が、今も私の中で生き続けていることを、明確に証明しているのです。

             * * * * *

 さらに考察を進めると、いまの私が存在できるのは、先祖が居たからだけではありませ
ん。食物になってくれた、他の多くの生命のお陰でもあります。
 食物になってくれた植物や動物の「生命の意義」は、私の生命を支えることにより、私
に影響を与えつづけます。だから、それらの「生命の意義」も、私の中で生き続けている
のです。

 さらに一般的な話として、地球の生態系における「食物連鎖」で、食べられた生物の
「生命の意義」は、食べられた時に消滅したのではありません。他の生命を養うことに
よって、その生命の中で生き続けます。もちろん、食べられた生物の「肉体」は確かに死
にます。しかし「生命の意義」は、肉体が死んでも、他の生命の中で生き続けるのです。
 だから、一般的にどんな生物であっても、「生命の意義」は肉体が死んでも生き続けま
す。

 さらにまた、「生命の意義」は、生物個体の肉体が死んでも生き続けるだけでなく、そ
の生物種が絶滅しても生き続けます。
 たとえば、4億年前に陸上に進出した魚の「生命の意義」は、すべての陸上動物の繁栄
として、たしかに現在も存在し、波及拡大を続け、影響を与え続けています。
 陸上への進出を試みた4億年前の魚たちは、現在では、個体のみならず種としても存在
しません。しかしながら、かつてその魚たちが生きて存在し、陸上への進出に成功したと
いう「生命の意義」は、たしかに現在においても生き続けているのです。

            * * * * *

 ところで、以上に述べたことは、「あなたの生命の意義」についても同様です。
 あなたが今まで生きて、活動したことの全て・・・
 人と会い、仕事をし、家族や周囲の人の世話をし、あるいは植物や動物を育てたり、助
けたり、保護したりすること。これら、あなたの生命活動が与えた影響のすべて。その、
あなたが生きて存在した証である「あなたの生命の意義」は、あなたの肉体が死んでも生
き続けます。
 しかも「あなたの生命の意義」は、今後、何億年も生きつづけて波及拡大して行きます。
たとえ人類が滅んだとしても、「あなたの生命の意義」は絶対に消滅しません。

 たしかに、いま現在において、あなたの「生命の意義」は、ほんの小さなものにしか見
えないでしょう。しかし、あなたの「生命の意義」は、無限の時間をかけて、無限に波及
拡大して行きます。
 つまり、あなたが生きて存在した証である「あなたの生命の意義」は、永遠に生き続け、
無限大の影響力を持つのです。



 つづく



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