世界の二酸化炭素排出量
2023年10月15日 寺岡克哉
前回では、日本の温室効果ガス排出量について見てきましたが、
そうすると次は、世界の状況がどうなっているのかも、やはり
気になってきます。
なので今回は、それについて調べてみました。
* * * * *
さっそくですが、
下の表は、2020年における世界の二酸化炭素排出量です。
しかしここで、ちょっと注意をしますが、
下の排出量の数字は、温室効果ガスの全体ではなく、
温室効果ガスのうち、「エネルギー起源の二酸化炭素」について
のものです。
つまり、石炭や石油などの「化石燃料」を燃やして作ったエネル
ギーを、
さまざまな産業や家庭が、利用や消費をすることによって生じる
二酸化炭素の排出量となります。
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2020年における世界の二酸化炭素排出量(エネルギー起源)
順位 国名 排出量 世界全体に対す 1人当たりの
(億トン) る割合(%) 排出量(トン/人)
1 中国 101 32.1 7.2
2 アメリカ 43 13.6 12.8
3 インド 21 6.6 1.5
4 ロシア 16 4.9 10.8
5 日本 10 3.2 7.9
6 ドイツ 6 1.9 7.1
7 韓国 5 1.7 10.5
世界全体 314
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この表を見ると、
中国の排出量は101億トンで、ダントツ(断然トップ)の1位で
あり、
2位のアメリカ(43億トン)の、2倍以上の排出量となっていま
す。
そして、このことだけを強調すれば、中国が最悪の国だと言えるで
しょう。
が、しかし、
1人当たりの排出量を見ると、中国は7.2トンで、日本の7.9
トンよりも低く、
一方アメリカは、1人当たりの排出量が12.8トンもあります。
なので、
「世界の誰もが、平等にエネルギーを使い、幸福になる権利が
ある」
という見方に立てば、世界の主要国は、中国をつよく非難できませ
んし、事実そうなっています。
* * * * *
さて、つぎに、
2020年の排出量は、1990年に比べて、一体どれだけ増えた
のでしょう?
それをまとめたのが、下の表になります。
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二酸化炭素排出量(エネルギー起源)の、1990年と2020年の比較
国名 1990年 2020年 増減 比率
(億トン) (億トン) (億トン) (%)
中国 22 101 +79 459
アメリカ 48 43 -5 89.6
インド 5 21 +16 420
ロシア 22 16 -6 72.7
日本 11 10 -1 90.9
ドイツ 9 6 -3 66.7
韓国 2 5 +3 250
世界全体 203 314 +111 155
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この表を見ると、
まず世界全体の排出量が、1.6倍ほどに増えているのが分かり
ます。
そして、いちばん注目されるのは、やはり中国の排出量増加です。
中国は、1990年から2020年の間におよそ4.6倍になり、
79億トンも排出量が増えています。
これは、2020年における日本の排出量(10億トン)のおよそ
8倍であり、
もし日本の排出量がゼロにできたとしても、中国の増加分に比べれ
ば「焼け石に水」であることが分かります。
が、しかし、
1990年における、中国の1人当たりの排出量を調べると1.9
トンであり、
同じ年における、日本の1人当たりの排出量は8.9トンでした。
(ちなみに同年のアメリカは、1人当たり19.2トンで、中国の
10倍にもなっていました。)
なので、
1990年から2020年の間に、中国の排出量がこんなに増えても、
やはり世界の主要国は、つよく非難できないのが現状でしょう。
しかしながら、上の一番目の表を見れば、
1人当たりの排出量で見ても、中国はドイツよりも多くなっており、
日本にも迫(せま)ってきています。
なので、いくら中国であっても、そろそろ増加から減少に転じる
「ピークアウト」をしてもらわないと困ります。
また、中国のつぎに注目されるのがインドです。
インドも経済発展にともない、1990年から2020年の間に、排出
量が4.2倍に増えています。
が、しかしインドは、2020年の1人当たりの排出量が1.5トンに
しかなっていません。
なので、この先、
インドの1人当たりの排出量が7トンぐらいまで増えるとすれば、
2020年の21億トンの、さらに4.7倍の99億トンぐらいまで
増える可能性があり、
インドの人口増加も考えれば、さらにそれ以上になるかも知れません。
それは、
2020年におけるアメリカの排出量(44億トン)の2倍以上であり、
やはり、今後のインドの排出量増加が、ものすごく懸念されます。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたが。
中国やインドを説得するためには、
アメリカの1人当たりの排出量が12.8トンというのが、何とも
ふざけた数字であり、いちばんの元凶(げんきょう)だと言えます。
また、わが国の日本も、
1人当たりの排出量が7.9トンで満足することなく、さらなる削減
をして行かなければなりません。
ところで、最新の発表によると、
2022年における世界全体の二酸化炭素排出量は、368億トン
となっており、
2020年の314億トンから、さらに54億トンも増えています。
これでは、
地球温暖化による気候変動の被害が、ますます甚大になって行くの
も、当然だと言わざるを得ません。
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