60歳になりました
                             2023年7月16日 寺岡克哉


 今年の7月13日で、私は60歳になりました。

 なので今回は、60歳になって思ったことや感じたことを、

 書いてみたいと思います。


            * * * * *


 まず、

 60歳ともなると、還暦(かんれき)の長寿を祝うほどの高齢です。

 近ごろでは、私も体力がずいぶん落ちてしまいました。



 しかし世間では、まだまだ私を「高齢者」と認めてくれません。

 なぜなら現在の日本では、65歳以上を高齢者(そのうち65~74
歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者)と、定義しているから
です。



 このように、

 まだ60歳という年齢では、地下鉄の「優先席」に座るのでさえ、
憚(はばか)られるのです。

 早く高齢者として認めてほしい私には、とても残念でなりません。


            * * * * *


 ところで私は、60歳になっても、マンガやアニメが大好きです。

 その点では、現在の私の精神年齢が、中学生や高校生の頃と、

 あまり変わっていないように感じます。



 ちなみに、

 中学生や高校生の頃は、「SFもの」が好きでしたが、

 現在では、「異世界転生もの」が好きになりました。



 上のように、

 この歳になっても、思ったほど精神年齢が大人になっておらず、

 「幼(おさな)い所は、相変(あいか)わらず幼いままだなあ」と
いうのが、

 60歳になって自覚した印象です。


          * * * * *


 しかしながら、若い頃と変わってきた所もあります。

 それは、かなり「わがまま」になってきたことです。



 つまり、

 嫌なことはやりたくない。

 自分の時間を、他人に取られたくない(他人に付き合って、
つまらない時間を過ごしたくない)

 好きなことだけをやりたい。

 という思いが、とても強くなって来たのです。



 これは恐らく、

 60歳にもなると、自分の人生が残り少ないことを自覚する
ようになり、

 時間的な余裕が無くなって、つまらないことや、やりたくない
ことに時間を使うのが我慢ができなくなり、

 残された短い人生を、できる限り有意義に過ごしたいという
思いが、とても強くなってきたからだと思います。


          * * * * *


 また、60歳になると、

 先が見えてきたというか、自分の可能性の限界が見えてきた
ように感じます。



 つまり、10歳代~30歳代ぐらいの若い頃ならば、

 何か新しいことを始めても、10年~20年ぐらい続ければ、

 けっこう「ものに出来る」のではないかという、(根拠のない)自信
がありました。



 しかし、60歳になった今にして思えば、

 たとえば物理学の研究は、13年間やっていましたし、

 本サイトのエッセイ書きは、21年間やってきましたが、

 プロの研究者にも、プロの物書きにも、なることは出来ませんで
した。



 このような現実が突き付けられると、

 「私は大器晩成なのだ! 長くやっていれば何とかなる」

 というような、若い頃に持っていた根拠のない自信が、みごとに
打ち壊され、

 自分の可能性の限界を、嫌(いや)でも思い知らされるようになっ
たのです。


           * * * * *


 また私は、これぐらいの年齢になると、

 大多数の人間は、高齢になっても、けっこう幼稚(ようち)な所が
あるというのが、

 すぐに透(す)けて見えるようになりました。



 たしかに、多くの人間は高齢になれば、

 自分を偉(えら)そうに見せて、若者に言うことを聞かせるような、

 そんな見せかけの態度や話術が上手(じょうず)になります。

 そして私も若かった頃は、それにすっかり騙(だま)されていま
した。



 しかし私も、この年齢になれば、

 偉そうな態度や話し方に騙されることがなくなり、

 その裏に隠れている「幼稚さ」が、透けて見えるようになったわけ
です。



 たとえば、いくら偉そうに振舞(ふるま)っていても、

 アメリカのトランプ前大統領や、ロシアのプーチン大統領、あるい
は日本の政治家の一部などに対して、

 「幼稚さ」を曝(さら)け出しているのが、すぐに見て取れるように
なりました。



 私は60歳になって、

 そんな幼稚な人間たちが、社会を牛耳(ぎゅうじ)っていることに、

 少なからず危機感を覚えてきた次第です。



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