「救い」について 4
                              2023年4月9日 寺岡克哉


 前回から、

 (1)大生命、(2)宇宙の原理、(3)大いなるもの、(4)私の神に
たいし、

●それぞれの「定義」

●それらが「自分の存在を肯定してくれるもの」である理由

 について、なるべく簡潔にまとめ、

 どの部分が、どのように進化してきたのかを、分かりやすく比較
するのを目的として、文章を書いています。


 それで前回では、

 (1)の大生命について、その定義と、それが「自分の存在を肯定
してくれるもの」である理由について書きました。


 今回は、その続きです。


            * * * * *


(2)宇宙の原理


●宇宙の原理の定義

 「宇宙の原理とは、宇宙に存在する全てのものを、 ”いま在る状態”
にしている根本法則である」

 と、以前に定義しました。



 「宇宙の原理」とは、この宇宙に、空間を存在させ、時間を存在させ、
エネルギーを存在させ、物質を存在させ、生命を存在させ、意識や
情報を存在させている根本法則です

 「宇宙の原理」とは、「原因」と「結果」の因果関係を支配する根本
法則です。

 「宇宙の原理」とは、「必然」と「偶然」を支配する根本法則です。
(この宇宙に必然と偶然が存在するのも、「宇宙の原理」によるもの
です。)



 ところで、岩波の広辞苑によると、

 「原理」とは、もののよって立つ根本法則。他のものがそれに依存
する本源的なもの。世界の根源。

 と、あります。 なので「宇宙の原理」とは、

 宇宙のよって立つ根本法則。この宇宙が存在するために依存して
いる本源的なもの。宇宙の根源。

 とも、言うことができるでしょう。



 この「宇宙の原理」を、もう少し具体的に書いてみましょう。


 そうすると、たとえば「宇宙の原理」とは・・・ 

 ビッグバンによって、巨大なエネルギーと、時間と空間とをこの宇宙
に発生させたもの。

 そのビッグバンのエネルギーから、素粒子や原子、つまり「物質」を
作り出したもの。

 その物質によって、銀河系や太陽系、そして地球を作り出したもの。

 地球上に「生命」を作り出したもの。

 生命を進化させ、人類を出現させ、高度な「意識」や「心」をこの世に
生み出したもの。

 人間の心に「愛」を生じさせるもの。

 たしかに人間の心には「怒り」や「憎しみ」の感情もありますが、しかし
それでも、怒りや憎しみより「愛」の方が善いものであり、価値があると
判断させるもの。つまり、「理性」を人間に与えたもの。



 このように、

 宇宙に存在する全てのものを司(つかさど)っている根本法則が、

 「宇宙の原理」なのです。


            * * * * *


●宇宙の原理が「自分の存在を肯定してくれるもの」である理由

 上で説明した「宇宙の原理」によって、「自分」というものが存在させ
られているから、

 つまり、

 宇宙の原理が「自分の存在を肯定してくれる」から、今ここに自分は
生きて存在できるのだと言えます。



 たとえば・・・ 

 ビッグバンによって、巨大なエネルギーと、時間と空間がこの宇宙
に発生しなければ、今ここで自分は、生きて存在できませんでした。

 ビッグバンのエネルギーから、素粒子や原子、つまり「物質」が作り
出さなければ、今ここで自分は、生きて存在できませんでした。

 その物質によって、銀河系や太陽系、そして地球が作り出さなけれ
ば、今ここで自分は、生きて存在できませんでした。

 地球上に「生命」を作り出さなければ、今ここで自分は、生きて存在
できませんでした。

 生命を進化させ、人類を出現させなければ、今ここで自分は、生き
て存在できませんでした。

 そして偶然なのか必然なのか、この時代の、この日本に、自分が
生まれなければ、今ここで自分は、生きて存在できなかったのです。



 このように、

 自分は「宇宙の原理」によって存在させられ、生かされています。

 ゆえに、

 宇宙の原理が「自分の存在を肯定してくれるもの」であると、考え
ざるを得ないわけです。



 自分は決して、「自分の意思や自分の能力」だけによって、生きて
いるのではありません。

 自分の意思や能力では、どうにもならない力や作用・・・

 そのような「宇宙の原理」が自分に働いて、自分は存在させられ、
生かされているのです。



 今ここで、自分が生きて存在していること。 その事実こそが、

 宇宙の原理が「自分の存在を肯定してくれるもの」であることを、

 明確に証明しているのです。


            * * * * *


●大生命から進化した部分

 私は、大生命の思想が一応の完成を見ると、

 「ところで大生命は、なぜ存在するのか?」という疑問が、新たに
湧(わ)き起こってきました。

 そしてまた、

 「自分の存在を肯定してくれるもの」が、地球の生態系だけに
閉じていること、つまり大生命だけに閉じていることに、

 何となく狭(せま)苦しさや、閉塞感(へいそくかん)を感じるよう
にもなっていました。



 そして、それらの問題について考えて行くうちに、

 「大生命は、さらにもっと大きなもの、つまり ”宇宙の原理” に
よって、存在させられているのだ」

 という思想に、たどりついた訳です。



 「宇宙の原理」は、「大生命」よりも、さらに大きな存在であり、
さらに広く開かれた存在です。

 つまり「宇宙の原理」は、「大生命」を内包(ないほう)している
と言えるのです。


 そこの所が、

 「宇宙の原理」が「大生命」よりも進化している部分です。


            * * * * *


 申し訳ありませんが、この続きは次回でやりたいと思います。



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