テレビの動画化 2
2022年12月18日 寺岡克哉
前回は、私がテレビが嫌いな理由として、
第一に、テレビは放送時間にならないと、目的の番組を見れない
こと。
第二に、テレビは延々とコマーシャルをやること。
第三に、テレビ番組は、解説能力のない「無意味なタレント」が出て
きて、無駄話をたくさんすること。
第四に、テレビ番組は、まったく関係ない話に、とつぜん話題を振る
こと。
に、ついて書きました。 今回は、その続きです。
* * * * *
第五に、
テレビ番組は、重要な表やグラフを、じっくりと見ることができません。
じつは私は、
重要な表やグラフだと、3分~5分ぐらい、じっくりと見ていたい人間
なのです。
が、しかし、
テレビで表やグラフが出るときは、長くても30秒ぐらいで、下手(へ
た)をすれば5秒以下などという時もあります。
これで、一体どうやって、表やグラフを理解すれば良いというので
しょう。
ところで、表やグラフを見るときには、
●グラフの縦軸が、いったい何を表わしているのか?
●複数の棒や折れ線が表示されている場合、それぞれの棒や折れ
線が、いったい何を表わしているのか?
●グラフの右側と左側で、縦軸の内容が異なっている場合、そして
複数の棒や折れ線が表示されている場合、どの棒や折れ線を、どち
らの縦軸で読み取れば良いのか?
●表やグラフの数字が、割合(パーセントなど)で表わしている場合、
分母(サンプリングの母体)は何なのか?
最低でも、これぐらいのことを確認しなければ、表やグラフが何を
表わしているのか理解できません。
そして私は、
過去に研究活動に従事していたので、表やグラフを見るための
基礎訓練を受けているのですが、
そんな私でも、表やグラフから、その真相(ほんとうに重大なこと
が起こっているのか、じつは大したことではないのか)を読み取る
には、
3分~5分ぐらい、じっくりと表やグラフを見る必要があるのです。
だから私は、
テレビ番組で表やグラフが出ると、ものすごく視線を集中し、頭を
フル回転させて画面を見るのですが、
しかし、それでも、
30秒ていどの短い時間では、表やグラフの真相を読み取ること
が、ほとんど出来ません。
じつにイライラして、
「これで視聴者の皆さんが、ほんとうに理解できるものか!」と、
怒りが込み上げてきます。
そんなとき、
インターネットの動画のような「静止機能」があれば良いのにと、
心の底から思ってしまうわけです。
* * * * *
第六に、
テレビ番組は、(無駄話が多いのに)重要な部分に限って説明が
とても速く、どんどん話を進めてしまいます。
つまりテレビは、「考えながら見ること」を許してくれません。
もしも、テレビを考えながら見たら、説明について行けなくなり、
内容が分からなくなってしまいます。
だから、テレビの内容をいちおう知るためには、考えることを放棄
し、テレビの言うことを「鵜呑(うのみ)」にしなければなりません。
そして、そのようにテレビを見ているうちに、
番組内容に対する疑問、批判、判断などの、「自分の思考」が
喪失していき、
ただただテレビの言うがままのことが頭の中に浸透して、
テレビが煽(あお)り立てる内容や感情に、どんどん自分が支配
されて行くのです。
これは、もはや、
社会的に大規模な「洗脳」に近いのではないかとさえ、私は昔
から思っており、
テレビというものを、けっこう恐ろしく感じています。
これが、もしも、
インターネットの動画のような「静止機能」があれば、
番組をいったん止めて、ゆっくりと考えながら見ることができます。
また、番組の内容を聞き逃したときや、
ナレーター、アナウンサー、司会者、解説者などが、「本当にそう
言ったのか」を確認したいときに、
インターネットの動画のような「繰りかえし機能」があれば、それを
何回でも確認することができます。
そうすれば、
自己を喪失せずに(テレビに洗脳されずに)、番組の内容をしっか
りと把握(はあく)し、
それが重大なことなのか、大したことないのか、ものすごく悪いこと
なのか、そんなに悪いことではないのかを、
テレビに煽(あお)られることなく、自分なりに正しく判断することが
出来るようになるでしょう。
* * * * *
以上、前回から、ここまで見てきましたが、
テレビ放送が動画化されたら、ほんとうに良いことばかりです。
ところで、
そのような「テレビの動画化」は、けっして机上の空論や、夢物語
などではありません。
なぜなら、
NHKがすでに動画配信をやっており、私はNHKニュースなどを
動画で見ているからです。
そうすると、
重要な表やグラフをじっくりと見て、聞き逃したところは繰りかえし
聞いて、いろいろと確認し、考え、判断しながらニュースを見ること
ができます。
そしてまた、
興味のないニュースなどは、スキップすることもできます。
ところで・・・ 民放も、動画配信をやれば良いのにと思いますが、
しかし、コマーシャルや、タレントの無駄話をスキップされては、民放
の立つ瀬が無くなってしまうでしょう。
だから民放は、動画配信をやらないのではないかと、私は考えてい
ます。
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後記・・・
ここまで書いた後、インターネットで調べてみたら、民放放送の
動画配信サービスも多数存在していました。
やはり時代は、「テレビの動画化」へ進んでいるのだと思います。
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