自我意識の自我意識への影響
                            2022年10月16日 寺岡克哉


 私は、前回の最後に、

 釈迦やキリスト、トルストイ、武者小路実篤などの思想に触れた
ことが、

 私の「現在の自我意識」の形成に、とても大きな影響を与えたと
書きました。



 これは、

 釈迦やキリスト、トルストイ、武者小路実篤たちの、自我意識の中
にかつて存在した、彼らの考えや思い、願い、意志、希望などが、

 私の自我意識の形成に、大きな影響を与えたことを意味します。



 つまり、

 釈迦やキリスト、トルストイ、武者小路実篤たちの自我意識が、

 私の自我意識に、大きな影響を与えたのです。



 これを、もっと一般的な話に拡張すれば、

 とくに釈迦やキリストの自我意識は、彼らの死後2000年以上に
も渡って、

 世界中の多くの人々の自我意識に、大きな影響を与えて来たと
いえます。

 それが否定できない事実であることは、人類の歴史を見れば明ら
かでしょう。


            * * * * *


 いま上で述べたように、

 過去の偉人の自我意識、つまり「他人の自我意識」が、

 「自分の自我意識」に影響を与えたのは、まぎれもない事実です。



 ところで、このように、

 「他人の自我意識」が、「自分の自我意識」に影響を与えることの、

 もっと身近な例としては、以下のものがあるでしょう。



 それはまず、親の影響です。

 親からの躾(しつけ)や教育など、「親の自我意識」が、「自分の
自我意識」に大きな影響を与えたのは、まず間違いありません。

 これは、

 「親の背中を見ること」や、「親に反抗したこと」も含めて、親の自我
意識が、自分の自我意識に影響を与えたのです。



 そしてまた、

 学校における、教師と自分との人間関係や、友人と自分との人間
関係。

 あるいは、

 会社における、上司と自分との人間関係や、同僚と自分との人間
関係。

 これらの人間関係なども、

 「他人の自我意識」が、「自分の自我意識」に影響を与える、身近
な例だといえるでしょう。



 ところで、実例としては最悪ですが・・・ 

 いじめやパワハラなど、他人の自我意識が、自分の自我意識に、
ものすごく悪い影響を与えたことによって、

 自殺にまで追い込まれる場合があるのも、否定できない事実です。


 これほどまでに、

 「他人の自我意識」が、「自分の自我意識」に大きな影響を与える
場合があるのです。


             * * * * *


 さて、ここまで述べて来ましたように、

 「他人の自我意識」が、「自分の自我意識」に影響を与えることに
ついては、

 もはや、議論の余地がありません。



 だとしたら、

 「自分の自我意識」も、誰か「他人の自我意識」にたいして、

 何らかの影響を与えているはずです。




 たとえば、私の場合で言うと、

 本サイトで書き続けているエッセイを、読者の方に読んで頂くこと
によって、

 私の自我意識の中に存在する、考えや、思い、願い、意志、希望
などが、

 ごくごく小さいながらも、読者の方の自我意識に、何らかの影響を
与えているはずです。



 そして、その影響は、

 たとえ私が死んだとしても、読者の方の自我意識の中に、

 細々(ほそぼそ)とでも、残りつづけて行くのではないでしょうか。



 それは私にとって、

 ものすごく価値のあることであり、素晴らしいことであり、幸福なこと
なのです。

 そのために私は生き、エッセイを書き続けていると言っても、まった
く過言ではありません。



 これからも、

 読者の方の自我意識に、できるだけ良い影響が与えられるような、

 そんなエッセイを書いて行きたいと、決意を新たにした次第です。



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