心霊現象について 2
                               2022年9月4日 寺岡克哉


 前回からの続きです。


             * * * * *


●飛蚊症

 私は、54歳を過ぎたころから、「飛蚊症(ひぶんしょう 注1)」
になりましたが、

 この飛蚊症も、そのような「目の症状」が存在することを知らな
かったら、

 それを「心霊現象」だと思い込んでしまっても、まったく不思議
ではないと感じています。


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注1 飛蚊症(ひぶんしょう):

 飛蚊症というのは、物を見ているときに、「黒い虫のようなもの」が
動いて見える症状です。

 その「黒い虫のようなもの」の形や大きさは様々で、それをよく見よ
うとして視線を向けると、サッと視界から逃げていく動きをします。


 (病気ではなく)加齢によって起こる、生理的な原因の飛蚊症は、
目の構造と密接に関係しています。

 目の中は空洞でなく、透明なゲル状の硝子体(しょうしたい)という
物質で満たされていますが、

 硝子体の成分は、年齢とともに変化し、一部にしわのようなものが
できます。

 そうすると、この部分が濁って、その影が網膜に映り、視野の中で
黒い虫のように見えるわけです。
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 さて、

 私が初めて見た飛蚊症は、長さ5センチぐらいの、黒い虫のよう
なものでした。

 視界の角(すみ)に、なにか黒い虫が見えるのですが、そちらに
目を向けると、ものすごい速さで、サッといなくなってしまうのです。

 それが見え始めた数日間は、ゴキブリか、ゲジゲジだと思ってい
たほどです。


 その後、

 黒い小石のようだったり、黒いアメーバーのようだったり、いろいろ
な形の飛蚊症が見えるようになりました。

 あるときは、

 視界の右端から左端まで「黒い線」を引くような、とても大きな飛蚊
症が見えたこともありますが、

 しかしそれは、数時間ほどで、だんだん消えて見えなくなりました。



 このように、飛蚊症になると、

 黒くて得体(えたい)が知れず、ものすごく速く動くものが、確かに
見えます。

 なので、たとえば飛蚊症の知識が無かった昔の人などは、

 それを幽霊や、物の怪(もののけ)の類(たぐい)だと思い込んで
も、まったく不思議ではないと私は感じるわけです。


             * * * * *

●幻聴

 私は歳を取るにつれて、幻聴(げんちょう)が聞こえることが、

 多くなって来たような気がします。



 私がよく耳にする幻聴は、

 「ピンポーン」という、ドアのチャイムの音や、

 「プルルル、プルルル」という電話の着信音、

 「ボソボソ」という人の声、

 「ブーン、ブーン」という蜂の羽音などが、聞こえたりします。



 ごくごく稀(まれ)にですが、

 「寺岡さ~ん・・・ 」と、女性の小さな声で呼びかけられたり、

 「オイ!」と、急に後ろから怒鳴られたような感じがしたり、

 隣近所(となりきんじょ)が寝静まっている真夜中に、どこからとも
なく、お経を唱(とな)えている声が聞こえたこともあります。



 私の場合、幻聴は、

 布団の上で目が覚めたばかりの、「半分寝ぼけた状態」のときに、
聞こえることが多いですが、

 静かな部屋で書き物などをしている、「はっきりと目が覚めた状態」
のときでも、聞こえることがあります。



 ところで・・・ 

 「ピンポーン」と、ドアのチャイムが鳴ったのに、玄関に出てみれば
誰もいなかったり、

 「〇〇さ~ん・・・ 」と、誰もいないのに、女性の小さな声で呼ばれ
たり、

 真夜中に、どこからともなく、お経の声が聞こえたりすれば、

 それらを「心霊現象」だと思い込んでしまう気持ちも、私には分から
なくもありません。


             * * * * *


●ラップ現象

 「ラップ現象(注2)」は、私の家では、毎日のように起こっていま
す。

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注2 ラップ現象:

 ラップ現象というのは、誰もいない部屋から、あるいは、音の鳴る
ものが何もない部屋から、

 「ギシッ!」とか、「パン!」というような音が発生する現象です。

 温度や気圧などの変化によって、建物が小さく歪(ゆが)んだり、
軋(きし)んだりすることが原因だと考えられます。
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 たとえば私の家では、

 隣近所が寝静まった真夜中に、テレビの音も、パソコンの音も消し
て、家の中を静かな状態にしていると、

 けっこう頻繁(ひんぱん)に、「ギシッ」とか、「パン」とか、「パキン」
という音が聞こえます。



 とくに、

 冬の夜、寝るのにストーブを消して、部屋の温度が下がって行く
ときや、

 台風などの強い風が吹いて、建物が軋(きし)んでいると思われ
るときは、

 必ずと言ってよいほど、ラップ現象が起こります。



 ちなみに、

 一部のテレビ番組などでは、ラップ現象を、心霊現象として取り
上げるものもありますが、

 ラップ現象は、日常茶飯事(にちじょう・さはんじ)に起こる現象で
あり、

 もはや、こんな現象を、「心霊現象」として取り上げる方が、どうか
していると思います。


             * * * * *


 さて、ここで、

 私がいちばん最近に体験した、「心霊現象のようなもの」を、
ご紹介しましょう。


 それは、先週の真夜中のことです。

 目をつぶって寝ていると、「黒い霧の塊(かたまり)」のようなもの
が、閉じた目の中に、現れた感じがしました。

 そして、

 その「黒い霧の塊」が、私を引き寄せ、吸い込もうとしているよう
に、感じ始めたのです。



 そのとき私は、いたずら心が起こって、試(ため)しに、

 「引き込めるものなら、引き込んでみろ!」と、心の中で挑発して
みました。

 そうしたら、「黒い霧の塊」がどんどん大きくなって、

 ほんとうに、自分の体がどんどん引き込まれる感じがしたのです。

 さらには、両手足がビリビリと感電したかのように、引きつる感じも
起こってきました。



 さすがに、私も「ギョッ」として、かなり驚きましたが、

 「フムッ!」と精神と体に気合を入れたら、「黒い霧の塊」が徐々
に消えていき、手足の引きつりも解けて、体がスッと楽になったの
でした。

 ちなみに、この現象は、前回で紹介した「金縛り」の、一種ではな
いかと思います。


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 以上、前回からここまで書いて、私は思うのですが、

 歳を取れば取るほど 飛蚊症、幻聴、幻覚、錯覚などが起こりや
すくなり、

 いわゆる「心霊現象のようなもの」を体験することが、多くなって
きたように感じます。


 この世には、

 それを「心霊現象」だと思い込んでしまっても、無理もないような
現象が、たしかに存在するのでしょう。


 が、しかし、

 それをダシにして、「怨霊」や「タタリ」などと、気の弱い人を脅迫し、

 「金儲けの手段」にしている輩(やから)がいるのは、やはり許せま
せんし、憤(いきどお)りを感じずにはいられないのです。



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