私の神 6
2022年3月6日 寺岡克哉
●「私の神」は悪を禁止しない
これまで何回も述べていますが、
「私の神」とは、「この世を、この様にしているもの」と、定義しま
した。
上の定義から、この世に悪が存在する以上、
「私の神」は、「悪の存在を禁止していない」と結論されます。
ものすごく嫌な話ですが、
いじめ、暴力、盗み、児童虐待、強姦、殺人、戦争、大量虐殺・・・
これらの悪が、否定できない事実として、この世に存在している
以上、
「私の神」は、それらの悪が存在することを、禁止してはいないの
です。
* * * * *
●「私の神」は悪を退(しりぞ)ける
ところで上のように、
「 ”私の神” は、悪の存在を禁止しない」などと、言ってしまっ
たら、
「そんなことが、絶対にあるものか!」
「神が、悪の存在を容認するわけがない!」
「もしも神が、悪の存在を認めるならば、この世に神も仏も
あったものではない!」
と、憤(いきどお)りを感じる人が、いるかもしれません。
しかし「私の神」は、
この世に悪が存在することを、禁止してはいないのですが、
悪の存在を、好ましいものとして肯定している訳では、決して
ありません。
そうではなく、「私の神」は、
悪の存在を、好ましくないものとして退けるように、
この世に対して働きかけをしているのです。
つまり「私の神」は、この世で悪が行われた場合、
苦しみと不幸を人々に与えて、その悪を止(や)めさせるように、
働きかけをするわけです。
* * * * *
●「私の神」が悪を退ける例 その1
たとえば、「強盗殺人」などの悪が行われた場合を、考えてみま
しょう。
そうすると、
まず殺された被害者が、たいへんな苦しみと不幸に見舞われ
ます。
しかし、それだけでなく、
被害者の遺族も、たいへんな悲しみと、苦しみと、不幸に見舞わ
れるのです。
そして近隣の住民も、犯人が逮捕されるまでは、恐れや不安に
悩まされることになります。
さらには、テレビなどで報道されれば、日本全国の人々が、怒り
や悲しみに襲われ、不幸を感じてしまうでしょう。
一方、
もちろん犯人も、警察に捕まって刑罰に処せられ、ものすごく不幸
になるのは言うまでもありません。
このように、
悪が行われると、たいへんな苦しみと不幸が生じるので、
法律によって罪の重さを定め、警察の捜査によって犯人を逮捕し、
刑罰の執行によって罪を償(つぐな)いさせることにより、
そう簡単に気安く、悪を行うことは出来ないようになっています。
また、
戸締りをしたり、防犯カメラを設置したり、警備を強化するなど、
悪を行われるのを、未然に防ぐ努力もなされます。
以上のように、
さまざまな手段を講じて、この世に悪が蔓延(はびこ)るのを、
防ごうとします。
そして、この世が、この様になっているのは、
この世を、この様にしているもの、つまり「私の神」が、悪を退ける
ように働きかけているからです。
* * * * *
●「私の神」が悪を退ける例 その2
いま現在、
ロシアが一方的に、ウクライナへ侵略するという、目を覆いたく
なるような悪が行われています。
ロシア軍の攻撃は、軍事施設だけでなく、一般の建物にも及ん
でおり、
たくさんのウクライナ国民が、とても悲惨な状況に追い込まれて
いるのです。
(3月3日の時点で、ウクライナ民間人の死者が2000人を超え、
ウクライナから近隣諸国への避難民が100万人を超えると発表
されています。)
この、一方的なロシアの侵略にたいして、世界中から非難の声
が上がっています。
たとえば、G7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、
アメリカの7ヵ国)や、EU(ヨーロッパ連合)は、
ロシアに対して経済制裁を発動しました。
また世界各国で、ロシアにたいして攻撃を止めるように訴えるデモ
が起こっており、
ロシア自身も、国内の各地で、ウクライナへの侵略を止めるように
訴えるデモが起こっています。
さらに国連では、緊急の特別総会が開かれ、
ロシアを非難し、軍の即時撤退などを求める決議案が、181ヵ国中
141ヵ国の賛成多数で採択されています。
ところで、このままロシアが侵略行為を続ければ、
ウクライナ国民の苦しみや不幸が、どんどん大きくなって行くの
は言うまでもありません。
が、しかし、ロシア自身も大きなダメージを受けるのは、絶対に
間違いないのです。
たとえば、
ロシアは世界の主要国から経済制裁を受けて、ロシア国民の
生活がどんどん苦しくなって行きます。
そして、ロシア国内で反政府デモが広がり、プーチン大統領は、
国民から見放(はな)されて、どんどん窮地に追いやられて行くで
しょう。
そうするとプーチン大統領は、ロシア国民への弾圧を強めること
になりますが、
それでますます、ロシア国民の苦しみが増えて反感を買うことに
なり、大統領の支持者や側近までもが離反して、
プーチン大統領は、さらに窮地に追いつめられて行くことでしょう。
そしてまた、
難民を受け入れる近隣諸国や、ロシアに経済制裁を加えている
主要各国も、
ロシアの侵略が止まらなければ、それだけダメージが大きくなって
いくのは、絶対に避けられません。
つまりロシアが、侵略行為という悪を止めないかぎり、
苦しみと不幸が、世界中でどんどん大きくなって行くわけです。
そしてそれは、ロシア自身やプーチン大統領でさえ、決して例外
ではありません。
このため、ロシアが永遠に侵略を続けることは、絶対に不可能で
あり、
いずれ必ず、侵略行為という悪は、停止することになるのです。
そして、この世が、この様になっているのも、
この世を、この様にしているもの、つまり「私の神」が、悪を退ける
ように働きかけているからです。
* * * * *
以上、ここまで考察してきましたように、
「私の神」は、悪の存在を禁止していません。
が、しかし、「私の神」は、
悪の存在を好ましいものとして肯定し、この世に悪が蔓延(はびこ)
るのを望んでいる訳では、決してありません。
そうではなく、「私の神」は、
悪の存在を好ましくないもの、もし悪が行われた場合は、できる
だけ早急に止めさせるべきものとして、
悪が退くことを望んでおり、この世に対して、そのような働きかけを
しているのです。
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