名古屋市長が金メダルを噛む
                              2021年8月8日 寺岡克哉


 8月4日。

 名古屋市の河村市長が、ソフトボール日本代表チームのメンバーで、
名古屋市出身の後藤希友(みう)投手と面会し、金メダル獲得の報告
を受けました。

 ところが、

 この中で河村市長は、後藤投手から金メダルを首にかけてもらった際、
メダルを手に持ったあと、突然、口に入れて噛(か)んだのです。



 この行為について、名古屋市の広聴課には、

 「新型コロナで感染予防が呼びかけられる中、行うべきではなかった」

 「失礼な行為だ」

 などなど、批判の電話やメールが多数寄せられたほか、

 他の部署にも、同じような批判の声が寄せられたということです。



 もちろん、

 インターネット上でも、「非難の嵐」になっており、

 さまざまな芸能人も、河村市長にたいし、批判するコメントを出して
います。



 さらには、

 オリンピックのメダリストたちも、自身のツイッターで非難の声を上げ
ました。


 たとえば、

 東京オリンピックの柔道男子60キロ級で、金メダルを獲得した高藤
直寿(たかとう・なおひさ)選手は、

 「自分の金メダルでも傷つかないように優しく扱ってるのに。怒らない
後藤選手の心の広さ凄すぎ。俺だったら泣く」と、投稿しました。


 また、

 北京オリンピックのフェンシングの銀メダリスト、太田雄貴(おおた・
ゆうき)さんは、

 「選手に対するリスペクトが欠けている上に、感染対策の観点からもセレ
モニーさえも自分自身やチームメイトでメダルをかけたりしたのに、”噛む”
とは。ごめんなさい僕には理解できません」と、投稿しています。


 さらに、

 ロンドンオリンピック、バドミントン女子ダブルスの銀メダリスト藤井瑞希
(ふじい・みずき)さんは、同じような経験があることを明かした上で、

 「私もある・・・涙出かけた。口いっぱいにメダル入れられた、たぶんボケ
かましてきたんだと思うけど、本当泣きそうになった」と、当時の心境を
語っています。


              * * * * *


 ところで、

 私は以前、名古屋に9年間ほど住んでいたことがあるのですが、

 名古屋市長が、こんなことをするとは・・・ 

 名古屋に所縁(ゆかり)がある者にとって、なんとも不名誉なこと
だと言わざるを得ません。



 ちなみに、私は以前から、

 オリンピックのメダルを噛む行為にたいして、あまり品が良いとは
思えませんでした。



 それは例えば、

 ノーベル賞のメダルや、文化勲章を、とつぜん口の中に入れて
噛んだりすれば、

 それは下品どころの行為ではなく、正気の沙汰とは思えないほど
の行為でしょう。

 オリンピックのメダルも、ノーベル賞メダルや文化勲章と同じぐらい
丁重(ていちょう)に扱(あつか)うべきだと、私は以前から思っていた
わけです。



 しかも、

 自分が獲得したメダルを、自分で噛むのではなく、

 他人が獲得したメダルを、勝手に自分の口の中に入れて噛む
など、まったく言語道断(ごんごどうだん)の行為であり、

 それはメダルを獲った選手を見下して、バカにしているとしか
思えません。



 とにかく、これを機会にして、

 オリンピックのメダルを噛むなどという、野蛮で下品な行為が、

 今後行われることが無いようにと、心から願うばかりです。



      目次へ        トップページへ