盛り上がらないオリンピック
2021年7月25日 寺岡克哉
7月23日に、東京オリンピックが開幕しました。
しかしながら・・・
多くの皆さんも感じていると思いますが、
今回のオリンピックは、なにか盛り上がりに欠けるというか、
心の底から楽しめないというか、
なにかモンモンとして、スッキリしないというか、
そのような、ある種の「否定的な印象」が、どうしても拭(ぬぐ)い
きれません。
なぜ、今回のオリンピックにたいして、あまり良くない印象を持っ
てしまうのか、
私なりに思ったり感じたことを、ちょっとここで、まとめておきたい
と思いました。
* * * * *
まず、
今回のオリンピックが盛り上がらない、いちばん根本的な
原因は、
言うまでもなく、
新型コロナウイルスの感染拡大によって、社会的に危機的
な状況に陥(おちい)っていること、つまり「コロナ禍」のため
です。
この、コロナ禍によって、
本当なら昨年に行われたはずのオリンピックが、1年延期に
なってしまいました。
そのため、なにかダラダラとした感じになってしまい、盛り上が
りが削(そ)がれてしまったのでしょう。
そして、そのダラダラとした感じの中、
やっと今年になって、オリンピックが開かれたわけですが、
しかし、とてもじゃないけれど、
たくさんの人々が集まって、お酒を飲みながら観戦し、おおい
に盛り上がるなどということは、
まったく不可能な状況になっています。
これでは、
多くの人たちと勝利を喜び合ったりして、ストレス解消などを
することが出来ず、
スポーツ観戦の醍醐味のほとんどが、失われてしまったように
感じます。
そしてまた、コロナ禍によって、
店が潰(つぶ)れたり、仕事やバイトが無くなって、生活に苦し
んでいる人がたくさん居るのに、
オリンピックなどという「お祭り騒ぎ」を、やっている場合なのか?
と、いうように感じている人も、けっこう多くいるのではないかと
思います。
このように、
オリンピックにたいする否定的な感情が、社会的に蔓延(まんえ
ん)していることも、
オリンピックがいま一つ盛り上がらない原因のような気がします。
* * * * *
つぎに、
オリンピックが盛り上がらない大きな原因として、
「オリンピック組織委員会の不祥事」が、次から次へと続いている
ことが挙げられるかと思います。
しかも、
オリンピック開幕の直前になってさえ、
「オリンピック組織委員会の不祥事」が、次から次へと出てきて
います。
なんだか、
こんな人間たちによって、オリンピックが企画・遂行(すいこう)
されていたのかと思うと、
「もう、オリンピックなんか止(や)めてしまえ!」と、いうような
怒りの感情が、
ふつふつと湧(わ)き起こってくるのも、無理はないでしょう。
ところで、
この、不祥事を起こしまくっている人間たちは、スポーツ選手の
中に居るわけではありません。
スポーツ選手でもない人間たちが、オリンピックの足を引っ張っ
ているのです。
この意味では、
主役であるはずのスポーツ選手が被害者になっているわけで、
なんとも不条理なことが起こっています。
しかしまた、なぜ、
オリンピック開幕の直前になってからも、不祥事が次々と出て
くるのでしょう?
オリンピックへの影響を考えれば、不祥事があったのなら、もっ
と早くに指摘されるべきです。
それでなくても、オリンピックの開催は、もともと1年延長になって
いたわけです。
その間に、なぜ不祥事が指摘されなかったのでしょう?
そのことに、なにか陰謀めいた感じが、しないでもありません。
* * * * *
以上のような、オリンピックのゴタゴタを見て、私がいちばん
思ったことですが・・・
もしかしたら、
「オリンピックをやらないなら、やらないでも、別にどうと言うこと
はない!」
という感覚が、(選手や関係者以外の)多くの人々に、広がった
のではないでしょうか。
これは、
たとえば「原発の必要性」にも、なんとなく似ているように感じます。
つまり、
以前は、「日本に原発は必要不可欠だ」と、多くの国民が信じ
込んでいたのに、
東日本大震災以後、ほとんどの原発が運転を停止したことにより、
「原発が無くても、別にどうということはない」と、多くの国民に知れ
渡ってしまいました。
これと似たような感じで、
「オリンピックは、みんなの力で、絶対に成功させよう」という国民
感情から、
「オリンピックは、やらなければやらないでも、別にどうということ
はない」という国民感情へ、
変わってしまったのではないかと思います。
そして、この国民感情の変化こそが、
今回のオリンピックが盛り上がらない、もっとも大きな原因ではない
かと、
私は感じている次第です。
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