飲酒運転で児童5人が死傷 2
                              2021年7月18日 寺岡克哉


 前々回の「エッセイ1008」では、

 千葉県の八街(やちまた)市で、下校の途中だった小学生の列
に大型トラックが突っ込み、

 男子4人と、女子1人の、児童5人がはねられた事故について
書きました。



 この事故で、

 小学3年生の男子児童2人が死亡したほか、

 3年生の女子児童が意識不明の重体、2年生と1年生の男子
児童が重傷を負いました。



 一方、事故を起こした梅澤洋容疑者(60歳)は、

 飲酒運転をしていた上に、「現場近くにある福祉施設の人が、
飛び出してきた」などと、ウソの証言をして、

 事故の責任を、他者になすりつけようとしており、きわめて悪質
な人間でした・・・ 


             * * * * *


 ところで、

 このような事故を起こした梅澤容疑者が、ものすごく悪質な人間
であるのは当然ですが、

 この事故に関連して、他にもう一つ、とても大きな問題が存在し
ます。



 それは、

 小学生が毎日歩いて学校に通う「通学路」だというのに、

 道は狭(せま)いし、歩道もガードレールも無いし、

 そんな危(あぶ)ない道なのに、車がかなりのスピードで走って
おり、

 歩行者にとっては、「信じられないぐらい危険な状態」に、なって
いたことです。



 さらには、

 このたびの事故があった、千葉県・八街市の朝陽小学校では、

 5年前にも登校中の児童の列にトラックが突っ込み、4人がけがを
する事故があったといいます。



 その事故は、今回の現場から直線距離で2.7キロほど離れた
国道409号で起きたもので、

 事故の後、市の教育委員会は、登校や下校時の子どもたちの安全
対策をまとめた「通学路交通安全プログラム」を改定し、

 保護者や地域の人たちにより、危険な場所での見守りを強化する
などの対策を、進めてきたということです。



 しかし一方、市の教育委員会によりますと、

 このたびの事故があった現場の市道は、歩道を確保できる幅がなく、

 歩道と車道を分ける「白線」も、引かれていない状況が続いていたと
いいます。



 また、事故現場付近と、学校の間の通学路には、

 以前から通行車両に対して注意喚起を促す「スクールゾーン」の表示
がされている場所もありますが、

 通学路にたいして最高速度を30キロに制限する、「ゾーン30」は設け
られていませんでした。



 そして、このたび事故が起きた現場の道路については、

 子どもたちが通っていた朝陽小学校のPTAから、「道幅が狭い一方
で、交通量が多く危険だ」

 などの、登校や下校時の危険性を指摘する声があがっていました。



 このため、

 朝陽小学校のPTAでは、10年以上前から毎年、

 歩道の整備などを含む道路の改善を、八街市に求めていたという
ことです。


             * * * * *


 何ということでしょう!


 飲酒運転は論外だとしても、

 こんなに危険な道路では、いつか必ず、事故が起こるべくして
起こったことでしょう。



 しかも、

 制限速度を30キロにすることもなく、事故が起こるまで10年以上
も放っていたとは、

 ほんとうに信じられません。



 児童の親御さんたちに、「危険な道路」だと広く認識されていたの
なら、

 制限速度を30キロにすることなど、いつでも直ぐに出来たはず
です。



 そうであるにもかかわらず、

 10年以上も、そのまま放っておくという、信じられないことが起こっ
ていたのは、

 歩行者の命よりも、自動車の都合(つごう)を優先させたからに
違いありません!




 こんな前時代的な社会風潮は、

 一刻も早く、日本全体から払拭(ふっしょく)するべきであると、

 ここで強く主張しておきたいと思います。



      目次へ        トップページへ