熱海で大規模な土石流
2021年7月11日 寺岡克哉
7月3日の午前10時半ごろ・・・
静岡県の熱海市・伊豆山地区で、大規模な土石流が発生しま
した。
前回の続きを書こうと思っていたのですが、あまりにも衝撃的な
災害が発生したので、
今回は、この土石流について、私の感じたことを書いてみます。
* * * * *
まず土石流が発生した、まさにその瞬間の、
ものすごく衝撃的な映像が、テレビで大々的に、何回も何回も
放送されました。
すさまじい勢いで流れる土砂(どしゃ)・・・
それによって、家々がつぎつぎと破壊されていく様子を、
私は、生まれて初めて見ることになったのです。
それを見て、私が直(す)ぐに思ったのは、
これが例えば、もしも冬山の雪崩ならば、巻き込まれても、
鼻と口に雪が詰まらないように手で覆(おお)えば、
助かる可能性も、まったくゼロではありません。
しかし、
今回のような土石流に、もろに巻き込まれてしまったら、
まったく助かる可能性が無く、まず間違いなく、即死をしてしま
うでしょう。
それほどの衝撃と恐ろしさを、このたびの土石流の映像から
感じました。
* * * * *
ところで、
私は大学生のころ、山岳部に所属していたのですが、
そのときに、よく言われていたのが、
「沢歩きをしていて、川の水が濁(にご)ってきたら、一刻も早く、
できるだけ高い場所に非難せよ!」
と、いうことでした。
つまり、
川の水が濁ってきたということは、自分たちがいる場所よりも上流
のどこかで、「土砂崩れ」が起こったことを意味します。
そして、その崩れた土砂が、川をせき止めている可能性があるの
です。
たとえて言えば、脆(もろ)くて崩れやすい、「自然のダム」ができ
ているわけです。
そして、
その自然のダムに、川の水が溜(た)まっていき、やがて満タンに
なり、水が溢(あふ)れ出してダムが決壊すると、
とつぜんに鉄砲水や土石流が襲ってくるというわけです。
* * * * *
しかしながら、
このたびの土石流についての映像を、テレビの報道で見るかぎり、
(人工的に盛り土がされていた)上流部で、大規模な土砂崩れが
起こり、
その大量の土砂が、そのまま人家のある下流まで襲ってきたよう
にも感じます。
もしも、そうなら、
川の異常が起こる間もなく、とつぜん土石流が襲ってきたことで
しょう。
しかし、それでも、
大規模な土砂崩れが起こる前に、じつは小さな土砂崩れが
起こっていて、
川の水が濁(にご)るなどの前兆が、あったのかも知れません。
もしも、そのような前兆が少しでもあって、
現地に住んでいた人々が、その前兆に気づくことが出来たなら
と、
ほんとうに悔(く)やまれてなりません。
* * * * *
おそらく皆さんの中にも、
土石流の衝撃的な映像を、テレビなどでご覧になった方が、多く
いたことでしょう。
その映像を見た人は、よく分かるのと思うのですが、
もしも、土石流の流れから、ほんの数メートルでも離れることが
出来たなら・・・
あるいは、建物の1階に居るのではなく、2階に非難することが
出来たなら・・・
命が助かった人も、かならず居たと思います。
ほんとうに、
早め早めの避難と、異常を感じたときの咄嗟(とっさ)の行動が、
生きるか死ぬかに直結するのだと、思い知らされるような映像で
した。
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