火災保険が値上げ
                              2021年6月20日 寺岡克哉


 近年、

 火災保険の保険料が、どんどん値上がりしているみたいです。



 最近、そんなに火事が多くなってきたのかな?



 と、疑問に思っていたら、じつは火災保険は、火事だけでなく、

 台風や豪雨といった、自然災害による被害も補償するそうです。

 そして、この台風や豪雨による被害が、近年では増えているの
です。



 そのために、

 火災保険の保険料を、どんどん値上げしなければ、ならない
みたいです。


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 さて、

 業界団体である「日本損害保険協会」によると、主な風水害に
よる保険金の支払額は、

 2020年度では、2500億円ていどだったものの、

 その前年の2019年度では、1兆720億円にも上っており、

 さらに、その前年の2018年度では、1兆5694億円にもなって
いました。



 これは、

 2019年度には、房総半島などに大きな被害をもたらした台風
15号や、東日本に大きな被害をもたらした台風19号などがあり、

 2018年度には、関西空港が水没するなどした台風21号や、
九州から関東に被害をもたらした台風24号、そして西日本豪雨
などがあったためです。



 このように、やはり近年では、

 台風や豪雨による自然災害が大きくなって来ていると、言わざ
るを得ません。

 それで、

 火災保険に加入するための「保険料」が、どんどん値上げされ
ているわけです。


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 ところで、

 火災保険の「保険料の目安」となっているのは、

 損害保険各社でつくる「損害保険料率算出機構」が定めた、

 「参考純率」というものです。



 損害保険料率算出機構は、

 その「参考純率」が適正な水準かどうか、毎年度チェックしているの
ですが、

 近年では自然災害が多発しており、保険金の支払額が増えている
ことから、

 参考純率をどんどん引き上げているのです。



 その引き上げ幅ですが、すべての契約条件の平均(注1)として、

 2018年度には5.5%の引き上げ、2019年度には4.9%の引き
上げでしたが、

 さらに2020年度では、10.9%もの引き上げとなっています。


 そしてこれは、

 2005年度の8.7%を上回り、「過去最大の引き上げ幅」になって
いるのです。



 これらの引き上げにより、火災保険の参考純率は、

 2017年度から2020年度までに、1.23倍になった計算です。



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注1:
 参考純率の引き上げ幅は、建物の構造、保険金の額、築年数、
建物がある都道府県などにより異なっています。

 たとえば木造住宅で、保険金の額を建物は2000万円、家財は
1000万円とし、築10年以上の場合、

 2020年度の参考純率の引き上げ幅は、東京都で5.9%、
大阪府で30.9%、愛知県で7.6%と、なっています。
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 以上、ここまで見てきて私は思うのですが・・・ 


 これは、

 地球温暖化による気候変動が、台風や豪雨などの自然災害を
増加させ、

 各家庭の保険料にまで影響してきていることを、明確に示して
いるに他なりません。



 さらには、

 2020年度の保険金の支払額が、2500億円ていどだったのに、

 参考純率を過去最大の上げ幅にしたこと。



 それにより、

 2018年度や2019年度の、1兆円を超える大きな被害が、ただの
偶然だったわけではなく、

 この先、さらに地球温暖化が進んで、台風や豪雨などによる被害が、
どんどん大きくなって行くと、

 そのように保険の業界団体が想定しているのが、明確に見て取れる
と思います。



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