高齢者の多様化
                              2021年5月30日 寺岡克哉


 わが国の日本では、

 65歳~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んで、

 2段階に分けています。



 しかし私は、

 たとえ同じ年齢だったとしても、さらにその中には、

 大まかに「2種類の高齢者」が存在すると考えています。



 つまり、

 体が丈夫で元気な高齢者と、体が弱くて介助が必要な高齢者の、

 2種類です。


           * * * * *


 体が丈夫な高齢者は、本当にとても元気で、

 今年58歳になる私よりも、元気ではないかと思えるような人も
います。



 たとえば、

 何かのイベント(新型コロナワクチンの集団接種など)があれば、

 朝の5時ごろから並んで、ずっと待っていても平気な高齢者たち
です。

 私は、いまの年齢でも、とてもそんな気力がありません。



 とうぜん、そのような元気な高齢者は、

 買い物や、炊事、掃除、洗濯などの一般生活を行うのに、

 何の支障もありません。


           * * * * *


 一方、体の弱い高齢者は、

 杖をついて歩けるならば、まだ元気な方で、

 手すりなどを掴(つか)まなければ歩けなかったり、歩行器が
必要だったり、

 もっと酷(ひど)ければ、車イスでなければ移動できなかったり
します。



 とうぜん、そのような体の弱い高齢者は、

 買い物に行くことができず、毎日の食事も作ることができません。

 掃除や洗濯もできず、もっと酷(ひど)ければ、一人で風呂に入る
こともできないのです。


            * * * * *


 以上のように、たとえ全く同じ年齢であったとしても、

 体の丈夫な高齢者と、体の弱い高齢者では、ものすごく大きな
違いがあります。



 そして、たとえば最近、大きな違和感を感じたのは、

 東京の都心にある、新型コロナワクチンの大規模接種会場です。


 テレビの報道番組で見たのですが、

 接種会場近くの地下鉄駅の構造が、とても複雑で、私でも迷って
しまうでしょう。

 しかも東京の都心なので、出歩いている人々の数も、かなり多い
はずです。


 現在、大規模接種会場は、65歳以上の高齢者を対象にしていま
すが、

 そんな場所に、体の弱い高齢者が行けるわけがありません。



 ちなみに、

 もう、二人とも死んでしまいましたが、もしも私の両親だったならば、

 とてもじゃないけれど、接種会場には連れて行けないと思いました。


             * * * * *


 最初で書きましたように、国や地方の行政機関は、

 65歳~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んで、

 2段階に分けています。



 しかし、

 たとえ前期高齢者であっても、平均的な後期高齢者より体が弱い人
が、必ずいるでしょう。

 その逆に、

 後期高齢者であっても、前期高齢者なみに元気だったりする人も、
必ずいるはずです。



 しかしながら現在のところ、国や地方の行政機関は、

 高齢者を年齢で区別するしか、方法が無いのかも知れません。


 しかし、それでも、

 同じ年齢において、元気な高齢者と、体の弱い高齢者がいるのは、
どうしても現実に存在してしまいます。


 しかも、その「体の弱さ」というのが、

 杖をつけば歩ける程度から、車イスが必要な程度、そして寝たきりに
なってしまう程度まで、さまざまな段階があるのです。



 さらに、その上、認知症の程度も考慮すれば、

 たとえ体が元気であっても、認知症の程度によって一般生活に支障を
来たすことが当然あり、

 じつに様々な状況に置かれている高齢者が、存在することになります。



 つまり、 「高齢者の多様化」が進んでいるわけです。



 今後、高齢化社会が進んでいくと、さらに高齢者の数が増えて、

 ますます「高齢者の多様化」も進んでいくのは間違いありません。



 なので、国や地方の行政機関も、

 ただ単純に、年齢だけで高齢者を段階付けするのではなく、

 さまざまな情報やAIなどを活用して(しかし個人情報を保護し尊重
しながら)、

 もっと、きめ細やかな段階付けができるように、なって行けば良いと
思っています。



 そして、私たち一般国民も、

 ただ単に「あの人は高齢者だ」という認識だけでなく、

 「高齢者でも、いろいろな状況の人がいる」という認識に、変わって
行けば良いなと思っています。



 お恥ずかしながら、私も最近になってやっと、

 外を歩いていたり、スーパーで買い物などをしているときに高齢者を
見かけると、

 「高齢者でも、いろいろな状況の人がいる」

 「やたらに元気で、うるさい人もいれば・・・ 」

 「歩いている姿を見ただけで、ちょっと心配になる人がいる」

 と、いうような認識をするように、なってきた次第です。



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