意外にも孤独を感じない
                              2021年5月23日 寺岡克哉


 これまで私は、父と二人で暮らしていたのですが、

 もしも父が死んで、一人暮らしになったら、さぞかし孤独を感じる
だろうと思っていました。



 このまま行けば私は、

 まず間違いなく、「孤独死」になるのが目に見えていますし・・・ 



 ところが、

 いざ父が死んで、一人暮らしになってみると、意外にも私は
孤独を感じていないのです。


 ちょっと不思議に思ったので、その理由を考えてみました。


            * * * * *


 そうすると、まず第一に、

 「世帯主(父)」が死ぬと、その後のいろいろな手続きが、

 やたらに多いことに気がつきました。



 たとえば、ざっと挙げただけでも、

 世帯主の変更、健康保険証の書き換え、年金の停止。

 電気、ガス、水道、電話などの、契約者名義の変更。

 税金の手続き(地方税の支払いや、準確定申告)。

 などの手続きがあるのです。



 先日も、

 お役所などからの書類が、5通も郵送されてきましたが、

 それらの書類にたいして質問の電話をしたら、来週さらに
別の書類が送られてくることになりました。



 このような感じで、

 まだまだ、いろいろな手続きが、ぜんぜん終わっていないの
です。



 つまり、いま現在は、

 そのような「忙(いそが)しさ」によって、孤独を感じずに済んで
いるように思います。


           * * * * *


 ところで、今ちょっと思ったのですが、

 たとえば学校や会社など、周りにたくさんの人間がいる中で、

 自分一人だけが孤立している状況に陥(おちい)ったとすれば、

 かなり強く孤独を感じるのではないでしょうか。



 その反対に、

 現在の私のように、最初から一人だけしか居ないのなら、

 孤独であることに気がつかないというか、孤独であるのを忘れて
しまうというか、

 あまり孤独を感じないで済むのかも知れません。



 つまり、

 自分の周囲に、大勢で楽しそうにしている人間がいるからこそ、

 孤独というものを、とても強く感じてしまうのだと思います。


            * * * * *


 そして最後に、

 これが、孤独を感じないで済んでいる、いちばん大きな理由だと
思うのですが、

 それは、

 「今のところ私の体が丈夫(じょうぶ)であり、一般生活に支障を
来(
きた)していないこと」です。



 たとえば、

 さらに私が歳をとって、満足に歩くことができなくなり、一人では
買い物にも行けなくなったら・・・ 

 つまり、

 自分一人の力では生活ができなくなり、他人の力を借りなければ
生きて行けなくなったら、

 それこそ、「ものすごく強い孤独」を感じるのではないかと思います。



 なので将来、もうすこし私が歳をとったら、「本当の孤独」に悩み、

 苦しむようになるのかも知れません。



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